【2026年最新版】アスベスト除去工事のレベル1・2・3完全ガイド建設業・解体業の実務担当者必見
- 2月5日
- 読了時間: 9分

アスベスト除去工事とは?建設業界で知っておくべき基礎知識
アスベスト(石綿)除去工事は、解体工事や改修工事において法的義務を伴う重要工程です。
特に2006年(平成18年)以前に建築された建物では、
アスベスト含有建材が使用されている可能性が高く、適切な調査と除去が必須となっています。
本記事では、建設業・解体業の実務線で、
アスベスト除去工事の基本とレベル別対策を詳しく解説します!
なぜアスベスト除去工事が重要なのか
誤った除去方法は以下のリスクに直結します!
健康被害:作業員や周辺住民への重大な健康リスク
行政処分:労働基準監督署や都道府県からの改善命令・罰則
工事停止:即座の工事中断と工期の大幅遅延
企業信用の失墜:建設業許可への影響や取引先との関係悪化

アスベスト除去工事のレベル分類とは?レベル1・2・3の違いを解説
アスベストは非常に細かい繊維状物質で、空気中に飛散しやすく、
吸入すると長い潜伏期間を経て中皮腫や肺がんなどの重篤な疾病を引き起こします。
そのため、アスベスト除去工事では 「どの程度飛散しやすいか」=飛散性
を基準として3段階に分類されています。
レベル分類が重要な理由
アスベストは直径0.02~0.35μmの極細繊維状物質で、目に見えないほど微細です。
吸入すると10~50年の潜伏期間を経て、以下の疾病を引き起こします
中皮腫(悪性腫瘍)
肺がん
石綿肺(じん肺の一種)
このため、「どの程度飛散しやすいか」によって対策レベルを変える必要があります。
レベル別の特徴一覧
レベル区分 | 飛散性 | 主な建材 | 届出義務 |
レベル1 | 極めて高い | 吹付けアスベスト | 必須(14日前) |
レベル2 | 高い | 保温材・耐火被覆材 | 必須(14日前) |
レベル3 | 比較的低い | スレート板・外壁材 | 事前調査報告 |
このレベル区分によって、
除去方法
養生・隔離の範囲
使用する保護具
行政届出の内容
が変わるため、このレベル判断を誤ると、法令違反や重大事故につながります。

レベル1アスベスト除去工事 最高難度の完全隔離施工
レベル1対象建材の特徴
主に1970年代以前のビル、工場、公共施設の天井裏や鉄骨梁に使用されています。
吹付けアスベスト(石綿含有率が高い吹付け材)
吹付けアスベスト
石綿含有吹付けロックウール
石綿含有吹付けバーミキュライト
使用箇所:1970年代以前のビル・工場・公共施設の以下の箇所
鉄骨梁の耐火被覆
天井裏の結露防止材
機械室の吸音材
レベル1の危険性 なぜ最も厳格な管理が必要か
レベル1建材はアスベスト繊維が露出しており、わずかな振動や気流でも大量に飛散します。
アスベスト除去工事の中で最も厳格な管理が求められる工事となっています。
レベル1除去工事の基本手順
レベル1の除去手順は以下のように行います。
1. 作業区画の完全隔離養生
床・壁・天井すべてをプラスチックシートで密閉
二重壁による前室・除染室・後室の設置
エアロック方式の出入口管理
2. 負圧除じん装置の設置と稼働
HEPAフィルター付き集じん機の常時稼働
作業区画内を-5Pa以上の負圧に維持
排気濃度の連続モニタリング
3. 湿潤化処理と手作業除去
粉じん飛散抑制剤の噴霧
手工具による慎重なはつり・剥離作業
除去物の即座の袋詰め・密封
4. 清掃・封じ込め処理
HEPA掃除機による清掃
薬液による表面固化処理
気中濃度測定による完了確認
レベル1作業員の保護措置(PPE)
必須の保護具
電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)または全面形面体の防じんマスク(区分3)
フード付き使い捨て防護服(タイベック等)
二重手袋(内側:使い捨て、外側:耐溶剤性)
専用長靴
保護メガネ
レベル1工事の法令上の届出・手続き
労働基準監督署への届出(工事開始14日前)
都道府県への届出(大気汚染防止法)
作業計画の作成と周知
特別教育の実施記録
作業環境測定の実施
実務ポイント:レベル1工事は専門業者による施工が原則であり、
元請の管理責任も非常に重いものとなります。「下請に任せた」は一切通用しません!

レベル2アスベスト除去工事 隔離・湿潤・負圧の3原則
レベル2対象建材の特徴
配管やボイラー、ダクト周りに多く使用されています。
石綿含有保温材・耐火被覆材・断熱材
配管保温材
ボイラー保温材
煙突断熱材
ダクト保温材
使用箇所:設備機械室、地下ピット、配管周り
レベル2の危険性 狭所作業での飛散リスク
レベル2建材はレベル1ほどではありませんが、以下の特徴があります
劣化・剥離時に繊維が露出しやすい
狭所作業が多く養生不備による飛散事故が起きやすい
配管内部への粉じん侵入リスク
「レベル2だから簡単」という認識が最も危険です。
レベル2除去工事の基本手順
レベル2の除去手順は以下のように行います。
1. 作業範囲の隔離養生
作業区画をビニールシートで隔離
出入口の二重化(前室設置)
床面の養生と粉じん拡散防止
2. 負圧除じん装置の使用
原則として負圧除じん装置を設置(レベル1に準じる)
狭所の場合は局所排気装置の使用
排気は屋外の高所へ
3. 湿潤化した状態での手ばらし除去
飛散抑制剤の十分な噴霧
電動工具の使用禁止
手工具による慎重な撤去
4. 除去後の清掃と確認
HEPA掃除機による清掃
目視確認
気中濃度測定(必要に応じて)
レベル2作業員の保護措置
必須の保護具
防じんマスク(区分3以上)または電動ファン付き呼吸用保護具
使い捨て防護服
保護手袋
保護メガネ
レベル2工事の届出・手続き
労働基準監督署への届出(工事開始14日前)
都道府県への届出(大気汚染防止法)
作業計画の作成
特別教育の実施
実務ポイント:レベル2工事は、レベル1に準じた管理が必要になるケースも多く、
配管撤去などで作業範囲が変更になる場合、変更届や再協議が必要になるケースがあります。

レベル3アスベスト除去工事 「低リスク」の誤解が招く事故
レベル3対象建材の特徴
レベル3の特徴は以下のようになります。
成形された石綿含有建材
石綿含有スレート板(波板・平板)
石綿含有窯業系サイディング
石綿含有屋根材
石綿含有ビニル床タイル
石綿含有けい酸カルシウム板
使用箇所:外壁、屋根、天井、床下地など広範囲
レベル3の危険性 「安全」という誤解
通常使用状態では飛散性は低いですが、レベル3=安全という誤解が、最もトラブルを招きます!
通常の使用状態では飛散性は低いものの、以下の行為で一気に粉じんが発生します!
切断作業(丸ノコ・グラインダー使用)
破砕作業(ハンマーでの破壊)
穿孔作業(電動ドリル使用)
レベル3除去工事の基本手順
1. 原則「手ばらし」での撤去
ボルト・ビス類を手工具で外す
建材を破損させずに取り外す
やむを得ず切断が必要な場合は事前に湿潤化
2. 破砕・切断作業の原則禁止
電動工具の使用は最小限に
使用する場合は集じん機付き工具を使用
切断面への飛散防止処理
3. 湿潤化処理の実施
取り外し前に水または飛散抑制剤を散布
乾燥状態での作業は厳禁
4. 除去物の適切な梱包
破損しないよう慎重に運搬
プラスチック袋で二重梱包
「石綿含有産業廃棄物」の表示
レベル3作業員の保護措置
必須の保護具
防じんマスク(区分2以上)
保護メガネ
保護手袋
(必要に応じて保護衣)
レベル3工事の届出・報告
事前調査結果の報告(労働基準監督署・都道府県)
作業届は不要(ただし作業計画は必要)
作業記録の保存(40年間)
実務上の注意点
足場解体時の破損防止
仮置き時の飛散防止養生
他工種との同時作業禁止
実務ポイント:レベル3であっても、施工方法次第でレベル1相当のリスクになることを理解しておく必要があります!

全レベル共通|元請が必ず管理すべき5つのポイント
アスベスト除去工事では、元請事業者の管理責任が極めて重要です。
1. 事前調査結果と施工内容の整合性確認
調査報告書の精査
図面との照合
現場確認の実施
疑義がある場合の追加調査
2. 作業手順書・施工計画書の整備
レベル別の適切な工法の選定
養生計画の具体化
緊急時対応手順の明記
関係者への周知徹底
3. 下請・作業員への事前教育
アスベスト特別教育の実施確認(受講済みであることの記録確認)
作業手順の説明と実地訓練
保護具の正しい着脱方法の指導
健康リスクの周知
4. 工程変更時の再確認・変更届
追加のアスベスト建材発見時の対応
作業範囲変更時の届出要否確認
工法変更時の労基署・都道府県への報告
5. 完了後の確認・記録保存
除去完了の目視確認
気中濃度測定結果の確認
記録の40年間保存(法定義務)
作業員の健康管理記録の保管
「知らなかった」「下請がやった」は一切通用しないのがアスベスト対応の厳しい現実です!

アスベスト除去工事の費用相場と工期
費用相場(目安)
費用は「アスベストの種類」「施工面積」「作業レベル(飛散性の有無)」
によって大きく異なります。
レベル区分 | 費用相場(㎡あたり) | 備考 |
レベル1 | 20,000~50,000円/㎡ | 隔離養生・負圧設備込み |
レベル2 | 15,000~40,000円/㎡ | 建材の種類により変動 |
レベル3 | 3,000~10,000円/㎡ | 手ばらし前提 |
※建物の状況、アスベストの種類、除去面積により大きく変動します。
工期の目安
レベル1:準備期間1週間+除去作業2週間~1ヶ月
レベル2:準備期間3~5日+除去作業1~2週間
レベル3:撤去作業のみ(通常の解体工程内)
よくある質問(FAQ)
アスベスト撤去においてよくある質問をまとめてみました。
Q1. 2006年以降の建物にはアスベストは使われていませんか?
A. 2006年9月以降は0.1%を超えるアスベスト含有建材の製造・使用が禁止されていますが、
それ以前に製造された建材の在庫が使用されたケースもあるため、竣工年だけでの判断は危険です。
事前調査は必須です。
Q2. 自社でアスベスト除去工事をしても大丈夫ですか?
A. レベル3は自社施工も可能ですが、レベル1・レベル2は専門業者への委託を強く推奨します。
不適切な施工は健康被害・行政処分のリスクが極めて高いためです。
Q3. 事前調査は誰がやるべきですか?
A. 2023年10月以降、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による調査が義務化されています。
自社に有資格者がいない場合は、専門の調査会社に依頼してください。
Q4. アスベスト除去工事の届出を忘れたらどうなりますか?
A. 労働安全衛生法違反・大気汚染防止法違反として、
6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、工事停止命令が出されるケースもあります。

まとめ アスベスト除去工事は「レベル別対策の徹底」がすべて
アスベスト除去工事における最重要ポイントは、レベルを正しく理解し、
レベルに合った対策を確実に実行することです。
レベル別対策の要点
レベル1:完全隔離・負圧管理・専門業者による施工
レベル2:隔離養生・負圧設備・湿潤化の徹底
レベル3:手ばらし原則・破砕禁止・湿潤化処理
この基本を守ることが、以下を守ることに直結します
作業員の健康と安全
企業の信用とコンプライアンス
周辺環境と地域住民の保護
工期の遵守とプロジェクトの成功
2026年現在、アスベスト規制はますます厳格化しています。
「知らなかった」では済まされない時代に入っています。
適切な事前調査、正確なレベル判定、確実な施工管理——
この3つを徹底することが、建設業・解体業に携わるすべての事業者に求められています。



